空の誓い、海との約束
「ずっとお前を見てきて疑問に思ったのだ。どう考えても私利私欲のために殺生するような人間に見えない」

「買いかぶり過ぎです、ダグラス様」

 顔を上げぬまま、リフは答えた。

「私は人を殺めました。それは事実です」

「何故お前のような真面目な人間が、人様を手に掛けた」

「…………」

 予想通りの沈黙。私は深く溜息をついた。

 昔、逮捕された時のリフも今と同じだった。どんなに追及しても、罪を認める以上の事を一切口にしなかった。

「そういえば、あの時もお前は口を割らなかったな。裏切り者を裏切れない生真面目な奴と陛下が笑っておられた」

 仮面が微かに揺らいだ。ほんの少し、リフは笑った。

「そんな風に見て頂けたのですか」

「違うのか」

「意地になっていたといえばそうですが。話せば減刑されるという彼等の言葉を信じられなかっただけです。極刑を免れるなどという事は絶対に無い。私は」

 一度口を閉ざし、リフはつぶやくような小声で続けた。

「罪の無い命を沢山奪ったから」


< 117 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop