空の誓い、海との約束
「逆に、姫から沢山の幸せを頂きました」

 いつの間にかリフは顔を上げていた。しおれた草が水を得て生気を取り戻すように。

「それまでの悪夢と天秤にかけても、はるかに幸せの方が多くて……初めて、生まれて来てよかったと思えました」

 王宮にいた頃には見たことのない、柔らかな表情。

「私のような罪人にこんなにも沢山の幸せを下さった、陛下や姫に感謝しております」

 それに、とリフは続ける。

「ダグラス様が居なければ、私は陛下や姫にお仕えすることは出来ませんでした。ダグラス様にもマリーにも、心から感謝しております」

 リフは深々と頭を下げた。こうも真正面から感謝されると些か面映い。

「……お二人の事、決して忘れません」

 そう言ったリフの声音に、一瞬漠然とした不安が過ぎった。もう二度と会えなくなるかもしれないという、根拠の無い予感。

 その不安を打ち消す明るさで海色の瞳が笑んだ。

「私は今、本当に幸せです」


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