空の誓い、海との約束
空の誓い
 出発する前日、僕は父上に挨拶しに行った。

 母上も同席するはずだったが、『御加減が悪いので無理』との事だった。会うのが少し怖かったので、正直な所ほっとした。

「父上、明日レシュノルティアへ参ります。帰国は一週間後となります」

 夜会に招待された男性はその場で女王陛下にプロポーズし、陛下が受諾する。事実上婚約発表と同じだ。

 ゆえに、前々から双方の国家間で様々な手続きや準備が為されている。幾ら僕がペルビアナ国家にとって大した役に立たない第六王子といえど、王子は王子。結婚すれば『我が国と彼の国の架け橋』的な存在になり、表向きには国同士の繋がりが出来る。

 当然、そこには悪意無き『セイジテキトリヒキ』が双方に存在するわけで、父上や次期国王の兄上は何やらお忙しそうだった。

「行って来い。くれぐれもペルビアナ王家の恥とはならぬように」

 無愛想にそれだけ言って、父上はさっさと僕を追い出した。余程お忙しいのだろう、顔を上げて僕を見てくれることも無かった。

 ……仕方ないか。

 諦めの気持ちを吐息にして吐き出し、僕は部屋へと戻った。

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