空の誓い、海との約束
航海中、僕はアスターに教えられた型通りのプロポーズの言葉を暗誦しながら海を見ていた。
天気は上々、海の色もいつもより明るい青に見える。甲板から海を見たいと言ったら、何かあったらどうするとアスターに叱られたので、大人しく部屋の窓から眺めることにした。
エミリア様が僕を婚約者に選んだ時、レシュノルティアの大臣達は満場一致で反対したらしい。理由は『あまりにも幼すぎる』事と『さして我が国にメリットのある相手ではない』という事だった。
『だからね、言ってやったの。伴侶となる者に、自らの自由だけでなく事実上祖国さえも捨てさせるのに、自分たちだけ相手から甘い汁を吸おうと考えているのですかって。そんな利己的な人物が政事(まつりごと)をあずかっているのなら、果たしてこの国はどうなってしまうのでしょうね、ってね』
結果、誰一人反論する事が出来ず、僕が婚約者として選ばれ夜会に招待されたらしい。エミリア様の悪戯っぽい笑みが文面から想像できて、僕は思わず笑ってしまった。
同時に、ふと疑問に思った。もし彼が生きていたら、彼は僕をどう思っただろう。