空の誓い、海との約束
「ありがとう、カティア。幾らになるかしら?」

 お姉さんはおばさんに尋ねた。え、手当てってお金かかるんだ。初めて知った。

「とんでもございません。エマ様から御代をいただくなんて」

「だーめ。私、そういう所はきちんとしていたいの。それに、大体の相場は分かるんですからね」

 相変わらず場違いな威厳を放っているおじいさんが、お姉さんに小さなコンパクトを渡した。

「全く、エマ様にはかないません」

 おばさんは小さく両手を挙げて笑った。

「では、お薬代と包帯代だけ頂戴いたします」

 薬屋を出てから、僕はお姉さんにお礼を言った。そして、気になった事を尋ねてみた。

「ねえ、どうしてお姉さんは僕が手を怪我してるって分かったの?」

 青空を背景に、エマお姉さんはふんわり上品に微笑んだ。そして僕のシャツの襟元を正し、チョーカーのボタンの位置を調節した。

「見ていれば分かるわ。色も変わっていたし、ちょっと動かし方が不自然だったもの」

 でも、お姉さん。僕の周りの人間は誰一人気にも留めなかったよ――そう言いかけて、僕はきゅっと口を結んだ。

 泣いてたまるか、こっぱずかしい。


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