空の誓い、海との約束
「そうだ、シェリフ。ちょっと待っていてね」

 そういってお姉さんは数軒先のお店に入っていった。そして戻ってきた時、お姉さんは手にあの白いふわふわを持っていた。

「手伝ってくれたお礼よ」

 僕はすっかり驚いてお姉さんを見つめた。

「どうして分かるの」

「何が?」

「僕がこれを欲しがってた事」

 お姉さんは口元に手を添えて優雅に笑った。

「見ていれば分かるわよ」

 すごい人に出会ったな、と僕は思った。きっとこのお姉さんは読心術が出来るに違いない。

 ずっと黙っていたおじいさんがエマお姉さんに何やら耳打ちした。お姉さんは頷き、僕の頭をぽん、と撫でた。

「じゃあね、シェリフ。また会いましょう」

「あー、僕旅行でこの国に来てるからなぁ。もし奇跡が起きれば、また会おうね」


 お姉さんと別れてから、僕は恐る恐る“ふわふわ”を口にしてみた。

「甘ーい」

 雪みたいに溶ける感覚も、透明な甘さも、すっごく気に入った。ありがとうって言われた時も、お姉さんが僕の傷に気がついてくれた時も、似たような甘さを感じた気がする。

 生まれて初めて感じた、不思議な感覚。幸せ……ていう言葉で合ってるのかな?

 二口、三口、ふわふわな幸せを口に含みながら、僕は船着場に向かってゆっくり歩いた。




< 15 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop