空の誓い、海との約束
『こんな事であの誓いを果たせるのか』

 弱い自分を叱咤する声がした。

 はっと我に返った。遠のきかけた意識が戻ってくる。

『忘れるな。あの日の誓いを』

 そうだ。僕が護るべきなのは自分の体面じゃなく、エミリア様だ。

 この程度のプレッシャーで怯んでいたら、この先ぶつかるだろう困難を越えては行けない。ひいてはエミリア様を護る事など出来ない。

 僕は胸に手を当て、目を閉じて深呼吸した。海に居る彼の存在が僕を力付けてくれる。

 あの日、彼女を護り抜くと彼に誓った。

 ならばその誓いを堂々と果たせ。

 二曲目が終わった。不安を決意で振り払う。

 緊張感は続いている。肩に重くのしかかる重圧を気力で跳ね返し、僕は顔を上げた。

 ざわめきの中、エミリア様の姿が現れる。僕と目が合い、いつもの笑顔を見せてくれる。

 もう、周りは見ない。僕はエミリア様だけを見つめて、その前に進み出た。

< 140 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop