空の誓い、海との約束


 夜会は、一年前にエミリア様と踊った大広間で行われた。

 しかし、同じ場所なのに流れる空気は一年前と全く違っていた。想像以上の緊張感が重苦しく広間を支配している。

 選ばれた上流階級の男女が華を添える中、壁沿いに居並ぶのは事と次第を見守るこの国の重鎮達。

 その威圧的な視線に、弱みを見せたら最後喰らい付かれそうな獰猛さを感じたのは、僕の被害妄想だろうか。

 異様に張り詰めた空気の中、舞踏会は始まった。

 三曲目に女王陛下がフロアにお出ましになる。その時誘うのが婚約者、踊り終わった後にプロポーズというのがこの夜会の筋書きだ。

 失敗は許されない。僕に向けられた無言の圧力が身体を縛り付ける。

 落ち着け、落ち着けと自分を宥めても中々震えがおさまらない。

 二曲目が始まる。不安と緊張がピークに達して軽く恐怖を感じた、その時。

< 139 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop