空の誓い、海との約束
「レシュノルティアへ旅立つにあたり、お二人にどうしてもお伝えしたい事がございます」

 母上はびくりと肩を震わせた。眉間に深い皺を寄せて父上は無愛想に言う。

「なんだ」

 色んな思いが交差する。言いたい事は沢山ある。でも、一番伝えなきゃいけない気持ちは。

「母上、僕を生んでくださり、ありがとうございます。そして父上、僕を忌み子として処分せずに生かしてくださり、ありがとうございます」

 深く深く頭を下げる。

 顔を上げると、二人は呆気に取られた顔で僕を凝視していた。

「これからはお二人の子として、ペルビアナ王家の名に恥じぬよう、立派にレシュノルティアでの務めを果たして参ります」

 そう言って、僕は二人を見つめた。

 長い沈黙が続いた。複雑な思いが去来する。僕の胸に、二人の瞳に。

 本当はもっと甘えたかった。二人に、愛されたかった。本当は……

 思わずこみ上げた涙を無理矢理飲み込み、僕は一礼した。

「では、失礼致します。お二人ともどうぞ御元気で」

 そう言って踵を返したその時、

「……シエル」

 父上に呼ばれて立ち止まった。押し止めた感情が溢れてしまう事が怖くて、僕は振り返らない。


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