空の誓い、海との約束
 呆れられるかバカにされるかと思ったら、女の人は翠の瞳を細めて微笑んだ。

「やんちゃをなさりたいお年頃ですものね」

 観念した僕は恐る恐る右腕を差し出した。腕を伸ばすだけで疼くように痛んだ。どこが軽い折檻だ。あれは絶対恨みが篭ってた。

 マリーと名乗った女の人は、氷をタオルに巻いて丁寧に冷やしてくれた。熱が引き、少しずつ楽になっていく。

 灯りが彼女の翠の瞳に映り込んでキラキラしている。僕は思わず呟いた。

「綺麗だね」

 手当ての手を止めて、マリーは僕を見上げた。

「マリーの瞳。綺麗な翠の色で羨ましいな」

 ふふ、と淑やかに笑い、マリーは言った。

「シエル様の瞳もお綺麗ですよ」

「いいよ、気を遣ってくれなくて」

 自嘲気味に僕は笑った。

「自分でも分かってる。僕みたいな海色の瞳って異質だよね。事実、父上にも母上にも厭われてるし。歴代の王族に同じ色の瞳をした人はいないから、私生児じゃないかって皆が疑ってる」

 マリーは腕に湿布をしてくれた。ひんやりして気持ちがいい。

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