空の誓い、海との約束
「僕が生まれた時、国に凶事をもたらす忌み子だって言う人もいた。父上が取り合わなかったから、僕は殺されずに済んだけど」

 彼女が穏やかな雰囲気の人だからか、見知らぬ人だからか。今まで他人に話したことの無い事も口をついて出てくる。

「瞳の色のせいで、母上にも沢山辛い思いさせたし、皆に煙たがられてるし……やっぱり僕は忌み子なんだろうな」

 だから僕には存在価値が無いのかもしれない。思わず泣きそうになるのを息を止めて堪えた。

 包帯を巻き終えたマリーは僕を見上げて言った。

「私は、シエル様と同じ瞳の者を知っております」

「え」

 僕は驚いて聞き返した。

「僕以外にも居るの、海色の瞳の人」

「ええ、居りました」

 マリーは薬箱に鋏や包帯をしまいながら頷いた。過去形ということは、今は居ないのか。


< 20 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop