空の誓い、海との約束
 陛下は即答せず、ただ微笑んだ。

「陛下じゃなく、名前で呼んでちょうだい」

「え」

 陛下の口調はすっかりエマお姉さんに戻っている。

 陛下は親しみやすくて話しやすいけれど、後ろにそびえる老兵が怖い。僕はダグラス老人を気にしながら恐る恐る名前で呼んだ。

「エミリア様」

「不合格」

 陛下は楽しそうに笑う。

「街で会った時と同じように話してちょうだい、シェリフ。その方が私も気が楽だし」

 ああ、と呟いて言い直す。

「シェリフは偽名だったわね、シエル」

「その節は大変失礼を致しまして申し訳ございませんでした。手当てとかあの……白いのとか」

 もそもそと謝る僕がダグラスを気にしているのが分かったのか、陛下は吹き出した。

「ダグラスはいつもこういう顔なの。怒ってるわけじゃないから、気にしないで」

「そう、なんですか」

「それにね、彼と同じ色の瞳をしているって、貴方の事を一番気にしていたのはダグラスなのよ」

 眉間に皺を寄せた老兵を気にする様子も無く、陛下は懐かしそうに遠くを見つめた。


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