空の誓い、海との約束
「え、どうなさいました姫様。どこか痛いのですか」

 痛い。どこだか分からない場所が。

 私は涙を拭って顔を上げた。脚が震えている。でも、言わなきゃと思った。

「わた……私、」

 両の手をぐっと握り締めて、ランディの目を真っ直ぐ見据えた。

「私、弱いものいじめをする人は嫌い」

 刹那、彼の顔色が変わった。それが余計に悲しくて、私は泣きながら叫んだ。

「嫌い。大っ嫌い!」

 何も言えずに居る険しい表情をしたランディの横をすり抜け、私はお父様の部屋に飛び込んだ。

 お父様は扉の前で話を聞いていたらしく、部屋に入るなりわんわん泣きだした私を抱きしめて言ってくれた。

「よく言えたね。偉いぞ、エミリア」


 お父様は全てを知っていた。

 城内に戻る途中で動けなくなった彼を助けた下働きの人に話を聞いたのだという。私達より彼らの方が沢山の事を知っているのだ、とお父様は笑った。


< 54 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop