空の誓い、海との約束
 翌年、春と言えど肌寒い日が続いていたある日の夜、久しぶりに大叔父様もお見えになり皆で和やかに夕食を囲んでいた時だった。

 突然お父様が胸を押さえて倒れられた。周囲がざわつく中、大叔父様が指示を飛ばし、お母様が半狂乱になってお父様の名を呼び続けていた。

 直ぐに侍医が駆けつけ、宮殿中が一気に騒然となった。

 何が起きているのか分からないまま、私はダグラスに抱きかかえられて海側にある北塔の最上階に連れて行かれた。髪を切られ、男の子みたいな服を着せられた。

 ダグラスの切迫した表情から、只ならぬ事態が起きているのだと察した。

「ねえ、お父様は? お父様は、どうなったの?」

 不安で不安で堪らなくて。縋る様に尋ねた私に静かにするよう身振りで指示し、ダグラスは小声で言った。

「今は詳しくお話している猶予はございません。もうすぐ助けが参ります。御自身の御命を守る為、彼の指示にお従い下さい」

「ダグラスは?」

「私とマリーは後程姫の元に参ります。今は一刻も早く城外へ」

 板で作られた窓を叩く音がした。ダグラスは素早く駆け寄り、窓を開ける。


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