空の誓い、海との約束
「御仕度は」

「出来ている。すぐに御救い申せ」

 音もなく窓から滑り込んできたのは、海色の瞳をした人――お父様が頼れと言っていたリフだった。

「失礼をお許しください、王女様」

 そう言って一礼した後、彼は私を抱え上げてダグラスに言った。

「では、お先に参ります」

「気をつけろ。お前は死んでも姫だけは護れ」

 大きく頷き、彼は私に言った。

「しっかり掴まっていてください。絶対に手を離してはいけません」

 言われた通り、私はリフに掴まった。疑問と不安と恐怖でおかしくなりそうだった。

 夕食時に見えていた月の姿はもう無かった。真っ暗な中、窓の外に吊るしてあった縄で一気に地面まで滑り降り、リフは私を抱えたまま海の方へ走って行った。

 怖かった。お父様の苦しむ姿と、お母様の悲痛な叫び声が頭の中でぐるぐる回り続けている。何もかもが夢だったら良いのに。

 背の高い草が茂っている海辺で立ち止まったリフは、私を砂の上に下ろし、草の陰から船を引いてきた。


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