空の誓い、海との約束
 目が覚めた時はもう夕焼け空だった。

 泣きすぎて瞼が痛い。目を擦りながら起き上がると、ふと良い匂いがして私は周りを見回した。

「お目覚めですか」

 ひょこ、と扉の向こうからリフが顔を覗かせた。

「お食事、食べられますか」

 正直言って食べる気分ではない。でも、良い匂いにつられて私は頷いていた。

「今お持ちしますのでお待ちください」

 彼が用意してくれたのはパンとスープだった。パンをスープに浸して食べると良い、と彼は私に勧めた。普段はお行儀が悪いといってさせてもらえなかった事なので、ちょっと嬉しかった。

「……美味しい」

 今まで食べたことの無い味だった。うまく説明できないけれどとても美味しい。

「レシュノルティアの料理ではないのでどうかと思ったのですが、これしか作れなくて」

 申し訳ありませんと謝るリフに、私は首を横に振った。

「申し訳なくないわ、美味しいもの。リフ、お料理上手なのね。王宮警備じゃなくて料理人になれば?」

 彼が黒い制服を着ていたのを思い出して言うと、リフは一瞬キョトンとして私を見つめ。

「お褒めに預かり、光栄です」

 照れたように笑った。

 初めて、彼が笑うのを見た。生きる価値がないとか酷い事を言われて踏みつけられて、一度も笑顔を見たことの無かったリフが笑ってくれた。

 大切な人を失い、理由も分からず逃げてきて。

 先が見えない不安を一杯抱えた暗闇の中、彼の笑顔は一条の光のように思えた。



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