空の誓い、海との約束
「“かくれんぼ”の間、家の外では姫の身分を隠している必要があります。それで、姫は両親を亡くして私が引き取った遠縁の娘という事にしてあります」

「分かった」

 あれ、よく見たらリフって首に怪我の痕がある。

「そのため、本来あってはならない事ですが、外ではお名前をエマと呼ばせていただき、敬語も使いません。失礼を致しますが、何卒御許しください」

「うん」

 黒髪だと思っていたけれど、よーく見ると真っ黒じゃ無いのね。光に透けると焦茶に見える。

「そしてダグラスは私の叔父、マリーはエマと一緒に越してきた家政婦という事にしてあります。この辺りは一応頭の片隅に置いて頂くだけで結構です。誰かに問われた時は我々が答えますので」

「うん」

 大きな手だなぁ。ごつごつしてて、強そう。だけど、頭を撫でてくれる時はすごく優しいんだよね。

「あくまでも身分を隠さねばならないのは外でだけです。ですので、家の中では従来通り姫であり王位後継者であられます。慣れるまで大変だと思いますが、御辛抱ください」

「うん……」

 リフの声って、何だか心地良い。ずっと聞いていたいなぁ。いつもはこんなに話してくれないから……。

 余所事を考えて返事が小さくなった私に、リフはついと目を上げた。

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