空の誓い、海との約束
 成長すると同時に、見えてきたものもあった。

 あれは七つになった頃だと思う。私はリフにチェスを教えてもらおうと思って彼の部屋に行った。仕事中なのか居なかったので、居間にいたマリーに尋ねた。

「ねえ、リフ知らない?」

 マリーは指を口に当てて静かにするように合図し、ソファを示した。そこには、子どもみたいに身体を縮めて毛布に包まっているリフがいた。

「そのまま寝かせておいてあげてください」

 私を手招きし、マリーは小声で囁いた。

「昨夜、眠れなかった様なのです」

「どうして?」

 微かに首を傾げてマリーは答える。

「本人は、満月が綺麗だったからと」

 今度は私が首を傾げた。

「眠れないほどお月様が好きなのかしら。私も昨日のお月様は綺麗だと思ったけれど、ちゃんと眠れたよ?」

 マリーはしゃがんで私と目線を合わせた。

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