空の誓い、海との約束
「……クレア」

 くぐもった小さな小さな声が聞こえた。眠っているはずのリフは苦しそうに呟いた。

「ごめん、クレア」

 ――見殺しにして。

 聞き間違いでなければ、リフはそう言っていた。

 一体、リフは何を背負っているんだろう。どうして月が綺麗で眠れないの? クレアって、誰?


 どうしても気になったので、二人でいる時こっそり尋ねてみた。

「ねえリフ、クレアって誰?」

 リフはきょとんとした顔で私を見た。分からない、という風に首を傾げた。その様子は嘘を付いているようには見えなかった。

「そのような名前の知り合いは、私にはおりませんが……どうかなさいましたか」

「ううん、ただ知ってるかなって思っただけ」

 聞き間違いだったのかもしれない。言いたくないだけかもしれない。

 どちらにしても、彼は何かを抱えている。重たくて暗い何かを。今の私では分かってあげられない辛さを。

 私は知ろうと決意した。リフの言う、この国の醜い現実を。

 いつか彼の抱えているものを理解するために。彼がいつでも眠る事が出来るように。


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