空の誓い、海との約束
確か八歳位の時だと思う。
いつものようにリフと街へ出掛けた。ダグラスは私の外出に良い顔はしないものの、リフにうるさく小言を言うことは無くなった。
いつもの通りでダリアおばさんと話をし、リフはお見合いというものを勧められてうんざりしていた。二人のやり取りが可笑しくて笑っているとほっぺたをつままれた。
もう一本向こうの通りに、人の固まりが見えた。何だろうと思って見ていると、リフが気付いて説明してくれた。
「あの朱のエプロンをしている人達は、家の無い人達に定期的に食事を差し入れているんだよ」
私はびっくりして問い返した。
「家が、無いの?」
考えたことも無かった。家の無い人たちがいるなんて。
もうすぐ雪が降るというのに、どうするんだろう。寒さに凍えてしまうのではないかしら。
リフは難しい顔で続けた。
「ここ数年で急に増えているようなんだ。国王陛下が亡くなられた後の一、二年で急に税金が上がったからね」
「急に……」
「今の国王代理は本国の事しか考えておられないから。島内での仕事も格段に減っている」
私は家の無い人達の方をずっと見ていた。拝むような仕種で食事を受け取る人を見ていて、喉の奥がつんとした。