空の誓い、海との約束
芽生えてしまった恋心
 いつから、彼と手を繋がなくなったんだろう。

 いつから、目が合うだけで胸が苦しくなり始めたんだろう。

 いつから、彼を好きになっていたんだろう。




 まだ幼くて自分の立場をよく分かっていなかった頃、私は大きくなったらリフのお嫁さんになると宣言したことがある。

 勿論リフは困った顔をし、私はその後数日にわたってダグラスからお説教された。

 どうしてだめなのか分からなかった。いや、自分が『相応の身分の人』と添わなければならない事はダグラスの有難いお説教のおかげで理解していた。

 理解出来なかったのは、どうしてリフではだめなのか――身分とは何かという事だった。

『リフは貴女のお側に居るのも分不相応な賤しい身分の者』

『元より私は姫のお名前を呼べるような身分ではないのです』

 いつからだったろう。

 リフが家の中では名前を呼んでくれない事に苛立ち始めたのは。

 王位後継者としてではなく、一人の女の子として見てもらいたいと願うようになったのは。

 私とリフの間にある、“身分”という越えられない壁を自覚し始めたのは――

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