ブラックレター~高嶺の花に恋します~
「相沢さん、お疲れ様です」
「あ、お疲れ様です」
相変わらず慣れないトーク番組の収録終わり。
すれ違ったスタッフと挨拶を交わして楽屋へと入る。
誰もいない静寂が包むそこで溜め息に似た呼吸を一つ。
(今日はこれで終わりか…)
最近物凄く忙しい。
めまぐるしく日常が回っていく。
役者として嬉しいことなのだが、疲れが溜まるのもまた事実だ。
ドラマの撮影中なんかは特になんとも思わないのだが、終わった途端どっと疲れがくる。
年か、年なのか。まだ若いつもりだったんだけど。
もう一度ふぅと息を溢せば、それを待っていたかのように突如楽屋のドアが勢いよく開いた。
「あ、あ、相沢さぁぁあん!たたた大変です!」
「…神崎、ノック」