紅 き 瞳
焦っているだけあって、足は速くなる。
自分の意思ではないのに、いつの間にか走り出していた。
「リラ!」
薄いドアの南京錠を壊すと、すぐに小さな少女の姿が目に入った。
その少女の目は、からっぽの人形のように冷たく、顔は無表情。
だが、もう一度小さく名前を呼ぶと、だんだんと少女の瞳に生気が戻ってきた。
そして、ゆっくりとこちらに目を向けると、聞こえないくらいの声を発した。
だけど、俺にはちゃんとその声が届いた。
「お兄様……」そう言ったリラの声が………。