あの日々をもう一度
三章 色のある日々
それからというもの…
凜は毎日放課後に真っ直ぐ星夜の家へ向かった。
親には塾の体験だと言っているが、仲違い気味でそれどころではない両親にとってはどうでもよいことだと思う。

それより早く星夜に会いたくて走って学校を出た。
今まで何気無かった私の世界に色がついた。もちろん絵の具は星夜。
星夜に悩みも不安も聞いてもらった。
真剣に考えてくれる星夜をみて
「やっぱり大人だな」と思うこともあった。
でも、コップの中はオレンジジュースで
「やっぱり子供だな」とも思った。
凜にとっては子供の顔も大人の顔も「星夜」であって、大人でも子供でも星夜は星夜なのだ。それが嬉かった。

学校でも「性格だいぶ明るくなったね」とか「話しかけやすい雰囲気になった」とか言われて友達も増えた。
それまでいたはいたものの、親友とまでは言えない子とまでも親友になれた。友情に関しては浅い付き合いだった凜にとっては友情というものがこれほど素晴らしいものだと知らなかった。

全て全てが星夜のお陰。
星夜は凜の絵の具だった。
凜の人生に色を塗る。
凜もまた
星夜の絵の具のような存在になれたらよいと思っていた。
もうなってたんだけどね。
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