ユビキリゲンマ
行きも絶え絶えに家についた。
鍵をかける。
誰もいない。
こんなときに限って。

あの女は確かに橋本さんだった。
えくぼが同じだった。
でも、どうして?
確かに約束は破ったけど…
それだけで人殺しなんてする?
あれ…、約束…

その時私は最初に彼女としたユビキリゲンマを思い出した。
もしかして…もしかして…
あの時私達は…

約束を破ったら殺される

危険な約束をしてしまったのかもしれない。



耳にこびりついた優子の叫び声が忘れられない。
ごめんね、優子。
今優子はどうなってるんだろう。
殺されちゃった…のかな…。
私のせいだよね。

ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん

あぁ、自分が自分じゃなくなりそう。
お母さん帰ってきて。
私が心細く思っていると



インターホンが鳴った。
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