ユビキリゲンマ
ピーンポーン…ピーンポーン…
ドキッ!だっ…誰?
私は玄関へ行って大声で「誰?」と叫んだ。
するとドアの向こうから「お母さんだよ。鍵なくしたから開けて」と聞こえた。
母の声に安心してドアを開けてしまった私が馬鹿だった。
ドアの向こうには…
大きなカマをもった
橋本さんだった。
恐怖で悲鳴をあげながら私は台所へ向かった。
『そうだ。私が彼女に殺される前に私が殺しちゃえばいいんだ。』
戸棚から大きくて切れ味のよい包丁を取り出そうとするが引っ掛かって取れない。
その間にも黒い影は忍び寄ってくる。
影が横に来た時、包丁がするり、と抜けた。
力ずくで包丁を引っ張っていた私はヨロリとした。
ドスッ。
何かが何かに刺さる鈍い音。
見ると私は…
橋本さんの腹部に包丁を刺していた。