お向かいさんに恋をして
ぶっきらぼうに言いながら、ちらりとさっきのイケメン店員さんを見やる安達君。

私たちは別に彼と付き合いたいとかお近づきになりたいとか、そんな訳じゃないんだけど、安達くんはなにやら勘違いをしているらしい。

「わたし達そんなんじゃないって。
ちょっとかっこいいなって見てただけ。
あ、注文するね?」

きなこちゃんがそう言うと、安達くんは不機嫌な表情を和らげた。

「おう。じゃ、注文受けるな。
あ、お勧めとか教えてやろうか?」

いくら友達だからって、一応、店内で店員さんとお客さんなのに、そんな感じで良いの? 
ってくらいにいつも通りの受け答えをする安達くん。

きなこちゃんはそんな安達君に笑顔を向けている。
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