お向かいさんに恋をして
「さくらちゃん! おはよー!」

ビックニュースだよー!
と言いながら、ドアを叩く留奈さんの声で目が覚めた。

時計を見ると8時過ぎ。
もうすっかり朝だ。

よく寝たなぁとあくびをしながらドアを開けると、留奈さんが私の上に雪崩込んできた。

「ねーねーねー! さくらちゃん!
ビックニュースだってばー!」

「だから、チャイムを……!
っと、それよりどいてくれません?」

興奮気味の留奈さんを、自分の上からひき剥がす。

「で、どうしたんですか?
人の部屋に朝っぱらから押しかけて……」

「人聞き悪いけどその通りなんだけど、聞いてって!」

昨日と同じ場所に座り込み、私が出したお茶を一気に飲み干した留奈さんは、まだまだ興奮冷めやらぬ様子。

「出たのよ! 出たの!」

「えぇ……。
出たとか、やめてほしいんですど……」

そう言った怖い話の類は大の苦手だ。
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