お向かいさんに恋をして
「さくらもいるか?」

たこ焼き片手ににこにこ尋ねてくる弟くんに、私は口を真一文字に結んでブンブンと首をふった。

「ははっ、真面目な上に素直なんだな。
さくら、面白い!
いじりがいありそうだ」

「わたしがさくらちゃんいじるんだからっ」
「さくらいじっていいのは俺だけだっての!」

熱々たこ焼きから復活した二人が、何やら憤慨している。

「あー、はいはい。わかったから。
それより、そろそろ退いてくんない?
営業妨害からさっ」

「ったくよ~。
話し終わってねぇのに……」

渋々退いた安達君に、きなこちゃんも続く。
私も二人に続こうとしたところで、声をかけられた。

「あ、そうそうさくら。
さっきさくらの後ろにいた男がさ、さくらのポケットにささっと何か入れたよな?

あれ、なんだったんだ?

手品の練習か? それともサプライズだったのか?」
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