運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~


10:30


リビングで私と枢は寛いでいると、玄関のチャイムが鳴った。


―――ピ~ンポン。


「誰だ?」

「あっ、私が出るよ」

「ああ」

私はその場を立ち上がり、玄関のほうに行ってドアを開けた。

「は~い」

「あ…」

「あ…」

当然のようにドアを開けた私に悠は一瞬目を丸くして、いきなり抱き着いて来た。

「きゃっ…!」

「優姫、無事でよかった~!!」

「は、悠!くる…苦しい~~!!」

「あっ、悪りぃ。…でも、俺のことを”悠”って呼んでくるって事は思い出してくれたんだな」

「うん」

「…これからは、”義兄貴”として優姫を守ってやる。お前のことは”優姫”って呼ぶ」

「うん、ありがとう。悠」

悠は再び私を抱き締めた。

「…おい、いつまでそうしてるつもりだ?悠」

背中に鋭い視線を感じて、後ろを振り向くと怒りの黒いオーラを滲み出ている枢が私と悠の後ろに立っていた。

…オーラが痛い。

「なんだよ、兄貴。俺にヤキモチを妬いてんの?」

「……」

「だだ、可愛い”義妹”を”義兄”として抱き締めただけ。…兄貴って、そんなに心が狭い男だったけ?」

「このシスコンが…」

「優姫、兄貴に告白をされたんだろ?」

「…うん…」

私は顔を赤くして頷いた。

「優姫、余計な事は言わなくていいからな」

「酷いな…。せかっく、人が心配してやったのに…」

「なんか、いろいろ心配をかけたみたいでごめんね。悠」

「お前が謝る事じゃねぇだろ?」

そう言って、悠は私の頭を撫でてくれた。

「…んで、なにしに来たんだ?」

「あっ、忘れてた。親父と優子さんに頼まれて迎えに来た」

「…ったく、わかった。すぐ支度をする」

「じゃあ…私、着替えてくる」

私たちは出かける支度をして、枢と悠の実家に向かった。



< 30 / 122 >

この作品をシェア

pagetop