僕のとなりで。
サヤカの家に着くと、兄弟らしき男が帰ってきた所だった。

『あれって、兄貴?弟?』

僕が聞くと、複雑そうな顔で答える。

『弟。』

『俺より上?下?』

今まで、自分の家庭環境も話したこともないけど、サヤカのことも聞いたことがなく、妙に興味がわいた。

『リョウくんより下だよ。高校卒業したばっかりだから。』

サヤカの態度がおかしい…そう思って、それ以上は聞かなかった。

『あ、今度、ちょっと遠出しない?夏だから海っていうのも、なんかわざとらしいから、別の所で。』

フッと笑顔に戻るサヤカ。

『普通、わざとらしいって言わなくない?まぁ、出会った場所が海だから、今度は付き合った記念で、思い出になる場所をつくりたいね!』

はしゃぐサヤカ。

『どこに行くか、考えといて。俺も、考えてみるから。』

『うん!楽しみ!』

本当に嬉しそうなサヤカを見て、僕も嬉しくなった。

『じゃあ、帰るね…。』

そう行って、車のドアを開けたサヤカ。

『うん。』

返事はしてみたものの、なんとなく様子がおかしくて気になった。

『どうかした?』

『…。リョウくん。今日、リョウくんの家に泊まっちゃダメかな?』


< 77 / 110 >

この作品をシェア

pagetop