ホストの憂鬱
四章
愛の誕生日が間近に迫ったある日、愛が遠慮しがちな面持ちで言った。

「キョン、連休とかとれる?」

「とれるよ」

始めから連休を俺は頼んでいた。

愛に言わなかったのは、水商売としてじゃなく、恋人として、愛の誕生日を祝いたいと思ったからだ。

当然、びっくりさすという思いもあった。

水商売としての祝いもちゃんと考えてあった。

店に行くと、愛、目当ての客が俺の存在を知って、他にうつることがある。

だから、俺は水商売らしく花を贈る事に決めていた。

同業者の女の子には花束を贈るのが、ムーンの習わしだったから。

別のプレゼントは愛の欲しいものをと思っていた。
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