君色ﾗﾌﾟｿﾃﾞｨ

その日は朝から雨であった。
「やだー。雨の日って、髪の毛うねる。」
麻衣子はくるくると自分の髪の毛を指で弄びながら言う。
天然パーマの麻衣子にとって湿気強敵であった。

「そんなこと、ないよ？麻衣子の髪綺麗だし。」
唯は微笑んだ。
麻衣子はちらりと、唯の髪を見つめる。
根っからのストレート。
加えてサラサラ。

「あ、ほらさ、夏休みの計画、立てようよー。」
実花がパンフレット片手に二人の間に割って入った。
7月上旬とはいえ、もう夏休みは目前に迫っていた。
「その前に、期末。」
「あーあ。」
実花はﾊﾞｻﾊﾞｻとﾊﾟﾝﾌﾚｯﾄで仰ぎ始めた。



「あっついなぁ、もうっ。｣


もうすぐ、夏がやってくる。
一生に一度の中学２年の、１４歳の夏。

一筋の飛行機雲が空を割って伸びているのが見えた。