天才極甘党系男子
「わかった。わかったから帰りなさい」
お義父さんはめんどくさそうにわたしたちを払った。
「父さん、認めてくれるまで僕は諦めません」
「根深い男は嫌われやすいぞ」
「…」
そう言われてわたしを見る颯佑。
わたしは首を横に振った。
「澄乃が大丈夫だから大丈夫です」
そう言うとお義父さんは笑った。
わたしも颯佑もびっくりした。
今までのあの張り詰めていた空気が一瞬にして柔らかくなった。
「なんなんだ、それは」
「えっ?」
「考えといてやるよ、馬鹿息子」
「ありがとうございます!」
わたしも颯佑も慌てて頭を下げた。
わたしたちは帰れと催促されたので家を出た。
上から大きなため息が漏れる。
「緊張した…」
「ほんとだね」
「ありがと、澄乃」
「ううん、いいの」
なんだか、嬉しかったし。
わたしは幸せでいっぱいになった。
わたしのせいじゃないっていってくれたのも。
全部全部宝物になりそう。