天才極甘党系男子
「努力?」
「努力です。
心平さんを助けようと必死に勉強して医者になって寿美乃さんと別れることになったのも受け入れてわたしと一緒になって…。
颯佑さんは人生の半分をあなたの思いに費やしているんです。自由にできていないんです」
「人間、そんな自由なんてないんだよ」
「お義父さんもこのようなことを受けたのですか?お義母さんとは恋愛結婚ではなかったんですか?親は受け入れてくれなかったんですか?
お義父さんの話をひとつも聞き入れてくれないような親だったんですか?」
「…」
「子どもにとって支えとなるのは親です。
その親が見放し、聞き入れず、自分の思いをただぶつけているだけじゃなにも変わりません。
親も子どもも後々苦しくなるだけです」
わたしは、
わたしは、颯佑さんにとって。
一番輝いている、やりたい道を選んで欲しい。
「颯佑さんは医者としてやっていくことを考えています。院長になることも。それでもまだ、足りませんか?」
「あなたには言われたくなかったね」
そう言ってわたしをじっと見た。
「あなたのせいで颯佑は体を壊した。
あなたの親のせいで颯佑はあなたと結婚することになった。縛っているのはあなたなんじゃないか?」
「それは」
「すべてが全て、俺の責任になるのかな」
わたしはなにもいえなかった。
たしかに、わたしのせいでもあるんだ。
「父さん、もう、やめてください」
「…」
「お願いです。僕の好きなようにさせてください!医者も続けます。周りから信頼されるようになります。だから」
「もういい、帰れ」
「父さん!」
「お前のことを大事にできない女をそばにおくのか?寿美乃さんとお前を離れさせた女とともにしていくのか?」
「体調管理だって僕ができていなかったからだし結婚するのも澄乃が悪いわけじゃない」