天才極甘党系男子
前まではこんなこと言って嘘だったと思う。
でも。
今は嘘じゃない。
「嘘じゃないよ」
遠ざかっていく背中に僕はそう言う。
そうするとその背中は止まって振り返った。
「本当に好きになってから、言ってください。
女のカンって鋭いんですよ?」
そう言ってまた歩き出した。
まだ、ダメってことなのか。
「はぁ……」
「なーに、まだ付きまとわれてんの?」
馴染みのある声がして僕は振り返る。
そこには紗和がいた。
「え、なんで」
「産婦人科。できたかもしれなくって」
紗和の後ろから心平も来る。
「あと、心平の定期検査」
「ああ」