天才極甘党系男子
「人が足りない…」
目に見えていた。
人手不足なことくらい。
他のところにも搬送してもらわないと間に合わない。
助かる命も助からなくなる。
そんなところへまた電話。
「はい」
白須が受話器を取ると、イヤホンで流れてくる。
僕は聞き取るために部屋に入った。
『二十代女性、重傷です。
足は右足骨折、頭からの流血があります。意識不明です』
「…どうする、王城寺先生」
僕は考えた。
きっと、重傷患者はここじゃなきゃ処置をするのは厳しい。
「軽傷者を移動させて重傷者の位置を拡大しよう、受け入れて」
「はい」
僕は混乱する現場に指示を送り、配置を変えた。