天才極甘党系男子



記憶?ない。


ただ無心で手術した。


僕の下で酸素マスクをしている澄乃。


初めてあった日。


その日もたしか交通事故に遭って僕が手術したんだ。


その時はこんなに緊張しなかった。


「ふぅ」


すぐにあの時は目を覚ましたのに。


まだ目を覚まさない。


出血はひどく、輸血することになった。


麻酔は全身麻酔だったから重いんだけど。


けれど、もう起きていいと思う。


「王城寺先生」


「あ、はい」


「お疲れさま」


入ってきたのは白須先生。


「ある程度落ち着いてきたわ。
軽傷の人は少しずつ帰ってるし、なんとか切り抜けられた」


「…よかったです」


「あなたもよく頑張った」


「何もしてないですよ」


「あたしは絶対に大切な人にメスなんていれられない」


歩み寄ってきて澄乃を覗き見る。



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