夜の虹
サーフボードにウェットスーツ。熱湯を入れたポリタンクやビーチサンダル。荷物を乗せた車は各々に中央自動車道を目指して行く。

深夜の高速道路は閑散としていて気づけば幕張のパーキングエリアであった。

首都高速から京葉道路に入る頃に辺りは薄暗くなり、東金の有料道路を降りた時には日の光が雲の間から射し込んできた。

車はゆっくりと海岸沿いを走っていく。

「いいじゃん、いいじゃん。これくらいのサイズがやりやすいでしょ?」

さっきまで後部座席で半分寝ながら、やっぱ寝れねぇ、とか言って他愛もない話を繰り広げていた河野さんが、九十九里浜の海を眺めながら私に問う。

「てか、なんで、サーフィンはじめたの?」

運転しながらダイキさんが、少し視線を後ろに送りながら私に問いかける。

「えっと・・・それは・・・」

言葉より先に浮かんだのは、2年前の夏、湘南のダーの実家の庭に立て掛けられたサーフボードだ。
それから小学生の修学旅行で鎌倉に行った際、江ノ島の浜でライトに照らされながらシャワーを浴びるサーファーの姿であった。片手にはサーフボードを抱えていた。

私はダイキさんに返す答えを探しながら、2年前の夏に思いを馳せていた。
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