黒き時の物語

狙いし者


ザッ…

街外れにある崖の先で
たい焼きを食べている少年

そんな少年に近付く足音

「…誰だ?」

少年は背を向けたまま
足音の主に訪ねる

「人を探していてね
″キルド・エンカ″という
少年を知らないか?」

足音の主は自分の素性を答えず
そう少年に尋ねた

「キルド・エンカなら俺の名だが?」

少年の名はキルド・エンカと言うらしい
それを聞いた足音の主は笑った

「そうか、これはついている
すまないが殺されてくれ」

ドッ!!

その瞬間勢い良く足音の主は
踏み出し、剣を取りだし
キルド・エンカに向かった

キィィインと刃物同士が
ぶつかり合う音がした

「よぉ、人に命狙われるような
事した覚えはねえぞ?」

キルド・エンカは今まで持って
いなかったはずの剣を握り
相手の剣を受け止めながら言った

ギィン!

剣を弾き距離をとる二人

「報告通りだな、左手に現れる剣
赤い髪にその物言い」

剣を軽く振りながら呟く相手

「報告?何の話だ…
つーかお前は何者だ?」

キルド・エンカは怪訝な顔をしながら
敵襲者に対して訪ねる

「失礼、私の名はミラ
詳しくは話せないが
貴様の首を持ってこいとの命令でな」

ミラと名乗った彼は
顔まで隠した布を身に着けている

「?…俺の首だと?」

「私も詳しく聞かされて
いないのだが命令なのでな」

「よくわかんねえけど殺すって
言われてはい、どーぞって
言うと思うか?悪いけど
捕まえてジジイのとこ連れてくぜ」

キルド・エンカはミラを
見て剣を構えた
ミラも応じるように剣を構える

ドッ

キィィイン!!
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