恋の授業。
「先にご飯食べようって言ってたけど、お腹大丈夫?空いてる?」
まだそんなに混んではいない電車の中で森川君が気遣ってくれている。
そう言えば……
森川君に初めて会った頃、ワタシが話を膨らませなくてもいろんな話をしてくれていた。
あの時は、ただラクだったとしか思わなかったけど、好きだと自覚してからではどうしてこんなに嬉しいのか。
やっぱり現金だな…と自分を自嘲しながらも、つい口が緩んでしまう。
「川原さん笑ってるー」
茶化すような言葉と視線にパッと口を引き締める。
…うっ
見…られた!
こんな顔見られるなんて、気持ち悪いと思われちゃうじゃん…
引かれたかと思いながらアタフタしていると
「楽しい??」
急に大人びた顔でそう言ってくる。
うぅ…
その質問…ずるい……っ
こんなんじゃ、ワタシの気持ちがバレてしまう。
「俺は楽しいよ。」
ワタシが黙っていても、素直に言ってくれる。
「こうしてるだけで、楽しい!」
ももも森川君、ホントどうしちゃったのかなっ?
この前から恥ずかしいって……
確かに、恥ずかしいことを言ってくれる人ではあったけど、ここまで積極的なイメージはなかった。
ワタシは、森川君の変化に戸惑いながらも
「楽しい」
と、震える声で答えた。