恋の授業。




夏休みも終わりに差し掛かった頃、駅の本屋に行った帰りいつもの曲がり角を過ぎると、チカチカとハザードランプをつけた車が止まっている。



あ、れ?
……デジャヴ?



なんとなく同じような景色を思い出して過去を漁りながら車を過ぎようとした時



「お嬢さんっ」


そう…声をかけられた。



………っ!



一瞬で蘇る記憶に少し戸惑いながら振り返ると、運転席のウィンドウからひょっこり顔を出して笑っている人がいる…。



…そういえば前もこうやって呼び止めららたっけ…
ココア。
買ってもらったな…



3週間会ってないだけで何十年も会ってなかったような気分だった。



「そこを歩いているのか見えたので…」



そう言って笑う。





ホクロメガネは悪くない。


ホクロメガネは何も知らないんだから…。



だけど…




ワタシはもう、ホクロメガネと話せない……



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