恋の授業。



どうしたのか聞こうかと迷っていると、さっきの話だけど、と話題が変わってしまった。



「来週の土曜日空いてる?」



「うん、何にも予定ないけど。」



「実はさ、妹の最後の運動会なんだ。」



森川君には小学6年生の妹ちゃんがいて、ワタシも1度だけ偶然会ったことがある。
クリクリした目が森川君にそっくりで、かなりの美人ちゃんだった。
年が離れてるからか、可愛いからかはわからないけど、森川君は相当かわいがっている。
ここに引っ越して来ても、最後の1年だからという理由で転校しないで電車で通学してるらしい。



「俺が行くって言ったら、恥ずかしいから絶対来ないで!ってんだよ。ひどくない?」



思わず笑いがこぼれてしまう。
小学6年生と言ったら、そういう時期なんだろう。
増して、森川君みたいなお兄ちゃんは…ちょっとうざったいのかもしれない(笑)



「だからさ、少しだけこっそり行って観ようと思ってさ!一緒に行こうよ!」



っぶはっ!
そこまでして観たいなんて、まるで父親じゃん!



森川君の必死さが可愛く思えて、二つ返事でOKした。


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