恋の授業。




「森川君はワタシが大好きなんだねー!」



いい子いい子と、にぎっていた手を撫でてみれば、森川君はワタシにギュッと抱きつく。



こんな時はこうして背中をトントンとしてあげると、落ち着くみたいだった。



どうしたの?って、聞いても、いいのかな…



森川君が不安定な理由をワタシなりに一生懸命考えてみたけど、受験前のストレス以外には…、あるとすれば、タイミング的にホクロメガネに会った後からだけど、でも、森川君はあれから何も言わなかった。



「最近、どうしたの?何かあった?」



っ!あっ!



どうしたものかと考えているうちに、口からポロっと出てしまっていた。



わ、わわわ!
慎重に話すべきことなのに!



自分の口を呪いながらも、もう言ってしまったことは仕方ないと返事を待つ。



でも、やっぱり言うべきじゃなかったのかもしれない。



「俺ばっか、好きだよね。」



森川君の言葉が理解できなかった。



「俺ばっかがくーちゃんを好きで、心配で不安なって…」



え…………
なんで…?
どうして…どうしてそんなこと…
また…



ワタシはまた、言わせてしまった。



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