恋の授業。
桜並木の下で



「空、お父さんからお花が届いたわよ。」



廊下から母親の声がする。



…花…って、、、



「恋人じゃないんだからー」



そう言いながらリビングに行くと、全体的にピンクの花束が届いていた。



「まぁ、わからないのよ、仕方ないわよ。」



母親ですらなんとなく引き気味だ。



「空のことは、本気で想ってるわよ?」



「わかってるって……」



今なら、わかる。

母親の再婚相手であって、ワタシの本当の父親ではないけど、気持ちは、ある人なんだ。

ただちょっと、不器用なだけで…



いやいやいや!だからって!
不器用にもほどがあるでしょ!
花束って!



ニヤニヤしていると、花瓶に入れ替えた母親が戻ってくる。
母親のニヤニヤも、ワタシにそっくりだ。



「メッセージまであったわよ」



ぅぎゃあぁぁあ!
さすがに寒いって!





“空ちゃんへ

19歳のお誕生日おめでとう

一緒に祝えないのが残念です


いつか君がお嫁にいっても
ずっと私の娘です…”





「ねぇお母さん…」



「ぅん?」



「お母さんは、気障な人が好きなんだね…」



母親を茶化してしまったのは、この恥ずかしさに耐えられなかったから。



でも、出張から帰ってきたら、お礼を言おう。


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