満たされる夜



その日の夜、私は久しぶりに遠藤に食事に誘われた。営業は接待や出張も多く、社内でも部署が違うだけにまったく会わない。
会うのはどれくらいぶりか…。
会わなくても何とも思わない自分がおかしくなる。


「めぐ、この前の飲み会で酔っ払ったんだってな。伊丹さんか、お前のとこの課長。送ってもらったのか?」


「同じ方向だったみたいで、タクシー乗るところまでね。ちょっと飲みすぎただけ」


うちの課には遠藤の同期がいる。
情報はそこからか―――。


「伊丹さんて独身だもんな?アレじゃモテないよなー、いつも怒ってそうだし」


鼻で笑った上に、どこか見下したようなその言い方にカチンとくる。
けれどそれは、私が課長の違う一面を知ってしまったからで。
以前だったら何とも思わないだろう。


「少なくとも、あんたみたいな男ではないと思うけど」
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