満たされる夜
昼休みが終わって課に戻ると、何だかザワついていた。
何かトラブルでも起きたんだろうか。
気にしながらも席に着いて、やりかけの書類に手をつけようとしたとき、チーフに声をかけられた。


「田崎、課長が体調不良で早退したから」

「えっ?課長が早退なんて今までなかったのに…」


課長は早退はおろか欠勤だってないし、有休を使うこともない。

体調不良って…。


朝は具合が悪そうな素振りもなかった。


「ここのところずっと忙しかっただろ。だから疲れが出たらしい。その書類、出来上がったら俺がチェックするから」

「あ、はい。分かりました…」


どれくらい具合悪いのかな…。

もし熱が出ていたとしたら、ちゃんと病院に行くのだろうか…。

私の集中力は一気になくなってしまった。

課長の家の場所を憶えておけばよかった。
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