一夏の花

屋上




「絵、描くんだ」
 久保先生、は私のノートを見て言った。

 ――虹を描きたい。屋上に来たのは初めてで、ましてやこの病院で虹を見たのなんて初めてだけど、この虹はなんだか特別な気がした。
 消える前に、早く描かなきゃ。
 描きたいと思うものが出来たの自体が初めてのことだ、私にとって特別に違いない。
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