一夏の花




「相変わらず能面みたいだなぁ」


 乾いた笑い声といっしょに、知果の前にはヒロ……と呼べと言った久保大斗という元・研修医がジャージ姿で立っていた。


「今、母親が自分の病気について聞かされてる」
 私は小さな声で言った。


「ちょっと、怖いと思わない?」
 ヒロはうなずく。
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