年下の彼氏が優しい件
テーブルに持ってきた食べ物を並べて、私と高野さんはそれぞれが取って来た戦利品を食べた。
ほとんど他人だし、どう会話すれば良いのか、少しだけ悩んでいたのは杞憂に終わり、
食べている食品の話だとか、それに因んだ話だとかエピソードを話していたり、
好きな食べ物の話だとか(高野さんは和食が好きみたいだ。因みに私は肉じゃがだったりする)、新たに取りに行く食べ物の話をしていたり、
気が付けば、あっという間に2時間経ち、店を出る時間になった。
照「もうこんな時間か…」
『あ、本当だ。』
今日は楽しかったね、と高野さんに話して、高野さんもあぁ、と返して
そのまま二人でレジに向かった。
「またのご来店を、お待ちしております。」
レジで財布を出そうとしたら、店員さんにそう言われた。
え、と少し固まってしまったところで、高野さんが「行こう。」と言った。
まさか…
『た、高野さん!?』
店の前に出たところで、高野さんが振り返る。
照「この前のお礼、ちゃんとしてなかったから。」
『いや、それは連絡先で…』
さらにまくしたてようとする私に、高野さんは「いいから奢られとけ、」と私の腕を引っ張った。
『ぅわっ』
私の横を、女の人たちが通る。
どうやら、私は通行の邪魔になってしまっていたみたいだった。
それに気が付いて、高野さんにお礼を言う。
高野さんは、少しだけ満足そうに笑った。
あぁ。もう…
『高野さんって、絶対…』
照「ん?」
『いや、何もない。』
絶対、モテるよ…
これは完璧に、私の読みは間違っていないだろう…
大体いつお金を払ったのだろうか。
あぁ、そうか、私がトイレに行っていた間か。
そこまで思考が行き着いたところで、駅前に着いた。
満足にお礼も出来ないまま、もうここで解散することになった。